住まいの構造と工法には様々な種類があります。工法を決めると、施工会社も自ずと決まってきます。ホームページなどには、それぞれの工法のメリットやデメリットなどが事細かに載っています。それらだけで単純に比較するのではなく、自らの判断を加えて施工会社を選ぶ際に役立てたいものです。
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構造・工法は、家族の暮らしを支える大事な家を建てる上で、大切な部分です。難しいイメージを持つかもしれませんが、あまり気負わずにおおまかな特徴をつかむ気持ちで臨めば、案外理解が進むかもしれません。構造・工法は常に進化しています。おおまかに理解した後は、それぞれの工法を採用する施工会社の営業マンに実際に聞いて、最新情報を確認しましょう。 工法とは、建物のつくり方(組み方)を指します。工法や材料によって、設計やリフォームの自由度、工期、費用などに違いが出てきます。構造・工法によっては、その会社が施工できるものとできないものがあります。得意・不得意もありますが、施工会社を選ぶことは工法を選ぶことと考え、大切にしたいものです。
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鉄やコンクリートに比べ、建物自体が軽くなり、地盤に求められる地耐力も軽減されます。また、木材は加工が容易で、自由度の高い間取りやデザインに対応できます。工法としては大きく3つあげられ、木の柱と梁、筋交いで骨組みをつくる伝統的な「木造軸組工法」、床・壁・天井・屋根の「面」で構造強度を持たせる「枠組壁工法」、ログハウスに用いられる「丸太組工法」などがあります。
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柱や梁などの主要構造部分に鋼材を用いる建物のことです。鋼材が軽量の場合を軽量鉄骨と言い、主に戸建て住宅に使用します。鋼材が重量の場合を重量鉄骨と言い、主に商業ビルや集合住宅などに使用されます。
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「RC」は、レインフォースト コンクリート(Reinforced Concrete)の略です。コンクリートと鉄筋の両方の特徴を生かした工法です。鉄筋を組み、型枠をはめて、現場でコンクリートを流し込んで骨組みをつくります。型枠次第でどんな形でもつくれる自由度の高さが特徴です。耐震性、耐火性、耐久性、遮音性に優れています。
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「在来工法」とも呼ばれる木造軸組工法です。工期は通常4ヵ月以上。柱の建て方、組み合わせ方で、自由な間取りが可能です。狭くて小さな土地や変形した土地にも対応でき、将来的な増改築やリフォームなども他の工法に比べて比較的容易です。 最近では、強度に優れた集成材を生かして構造体を強化し、柱の少ない大空間を確保する例も増えています。特徴的なのは、釘をほとんど使わずに「ほぞ」などで各部材を接合することです。昔は「現場きざみ」が行われていましたが、最近はほとんどのメーカーがプレカット加工された木材を使用することで生産性を高めています。国の耐震基準に合わせ、現在では各種ボルトや鋼プレートなどの耐震金具が必ず使われています。また在来工法は、国産のヒノキや杉、輸入材の米ツガ、米ヒバなどの自然素材の持つ良さを存分に生かせる工法でもあります。
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木材を材料に工場で合板パネルをつくり、木造軸組(在来)工法の軸組に組み込んで建築する工法です。在来工法に比べ工期を1〜2ヵ月短縮できます。在来工法との大きな違いは、筋交いの代わりに構造耐力を発揮するパネルを使用することで、水平方向の負荷に強くなり耐震性を高めます。また複合パネルを採用することで、断熱性や気密性、耐火性を効率的に高めます。
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北米で普及している木造住宅です。主な枠組材の断面サイズが2インチ×4インチであることから、一般的に「ツーバイフォー工法」と呼ばれています。また、2インチ×6インチの枠組材を使用する「ツーバイシックス工法」もあります。木造軸組工法が柱や梁など「軸」で構成するのに対し、壁と床、天井などの「面」で構成され、耐震性・気密性・断熱性にも優れています。木造軸組工法よりも短期間(3〜4ヵ月)で完成します。
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主要部材を前もって工場で生産し、現場で組み立てるのがプレハブ工法です。構造計算や強度実験が行われ、品質は一定で工期も短いという特徴があります。鉄骨フレームで骨組みをつくり、筋交いの代わりに「ブレース」と呼ばれる鉄の棒を使用するのが「鉄骨系プレハブ工法」です。設計は比較的自由で、耐久性や遮音性、防火性に優れています。
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断熱材等も一体となった木質パネル構造材を工場で生産し、現場で組み立てを行うのが「木質プレハブ工法」です。荷重を壁や床の面で受けるので耐久性が高く短工期です。
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部屋ごとに壁や天井の下地材建具、設備を工場で組み立て、現場ではその「ユニット」を据え付けるのが「ユニット系プレハブ工法」です。8割が工場で完成しているので、現場施工が少なく工期を大幅に短縮できます。「2×4ユニット工法」「鉄骨ユニットプレハブ工法」があり、移築やユニットごとの間取り変更もしやすいのが大きな特徴です。
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厚さ6ミリを超える材料(鉄骨)を使用し、柱や梁を強固に接続する重量鉄骨造(ラーメン構造)は、高層ビルなどを建てるのと同じ工法です。非常に頑強な構造のため途中に柱を用いず、大きな空間を作ることが可能で、間取りの自由度も高くなります。その分構造材がやや大きくなり、費用は比較的高くなります。
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大断面の木材を使うことで、調湿、断熱・遮音に優れますが、乾燥と荷重により木材が縮む「セトリング」が起こります。特に窓やドアなどは、高い技術が必要です。
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「長期優良住宅」とは、平成21年から施行された住宅新法で、良質な住宅を長期に渡って普及されることを目的とするものです。その認定基準は「劣化対策」「耐震性」「維持管理・更新の容易性」「可変性」「バリアフリー性」「省エネルギー性」「住環境」「住戸面積」「維持保全計画」の9つです。「劣化対策」などは、住まいの構造にも深く関わっており、木造住宅であれば「床下及び小屋裏の点検口の設置」や「点検のため床下空間の有効高さを330ミリ以上確保」、鉄筋コンクリートであれば「セメントに対する水の比率を低減するか鉄筋に対するコンクリートかぶりを厚くする」などの条件があります。
※2017年4月現在の情報です。掲載内容について変更になることがありますので、最新情報をお確かめください。